今後、業界はどう変化していくと予測されていますか。
うちのメインの仕事は、ボイラーという設備関係です。国際的にCO2の排出を抑えるという目標がありますので、今後はどんどんニーズが減っていきます。鉄工業界はなくならないと言われますが、増えて行く市場ではないことは確かです。そんな中で生き残るには、仕事が少量でも確実に儲けに繋がるようなことを考えて行かなければいけません。
どのような戦略を考えていますか。
弊社の事業はあくまでもお客さんから図面をいただいて仕事をこなしていくということなので、狭く深く入っていくしかないのかなと考えています。これまで見落としていたことも沢山ありますので、まだまだ出来ることはあるはずです。また、全般に技術が落ちてきている中、お客様の要求レベルも厳しくなっていることから、撤退する競合も増えていくでしょう。配管の裏波溶接が間違いなくできるというところがうちの強みなので、ライバル会社が出来なくなって来ているところにつけ込んでいく余地はあるだろうと考えています。
他の市場に行くのはなかなか勇気がいるし労力を使います。うちは少人数なので出来ることは限られていますので、従来通り、工場内における製作に特化し、余計なことはやらずに、しっかり、ちゃっかり、かちっとやるということでしかないと思っています。
今回、ホームページのリニューアルと同時に、案件管理のシステムを導入されたと伺いました。
お客様からご依頼いただいた案件の進捗状況を、個々のお客様へリアルタイムに写真付きで報告し、コメントを頂けるシステム(『ちょくレポ』)を導入しました。イチゴを、生産者に予約注文した時に、「これがあなたのために育てているイチゴです。もうすぐ出荷出来ます」と写真入りのレポートが届いたら愛着が湧きますよね。基本的な考え方はそれと同じです。それによって顧客満足も高まりますし、価格競争にも巻き込まれにくくなります。
あくまでも大事にしたいことは人と人との結びつきです。コロナ禍以前から感じていたことですが、最近は人と人との関係がどんどん希薄になっています。リモートワークが広まって、ますます加速しているような気もします。リモート会議が増えましたが、それで生産性が上がっているとは思えません。やはり会って話をするのが基本ではないでしょうか。時流に逆らうつもりはありませんが、お客様との接触機会は出来るだけ増やしたいと考えています。それはライバル会社との差別化につながるキーポイントでもあると考えています。
商いは人と人との営みで成り立っています。儲けという漢字は“信じる者”と書くように、信じ合える人間関係を築くことが商売の基本であると私は考えます。お客様にとって、弊社が“信じる者”、“信じてもらえる者”と感じていただければ嬉しいです。小規模ではあっても、弊社に関係するすべての人々(お客様、地域、従業員、家族)と共に、コミュニティを形成したいと考えています。
最後に、このホームページは、どのような方々に見て欲しいですか。
私はホームページで営業をしようとは考えていません。工場で働いてる社員の様子をお伝えすることで、何となく温かみを感じていただいて、「こんな会社があるんや」と興味を持っていただければ嬉しいです。採用目的というわけでもありませんが、ホームページを見て一緒に働いてみたいと思っていただける方がいれば迎え入れたい。それが水本鉄工の将来にも繋がって行きます。