製缶溶接加工・プレハブ配管加工・ボイラ・圧力容器・圧縮機などの製作

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大切にしたいのは“人と人との繋がり”
“溶接で困ったら水本へ行け”と言われる地域No.1を目指す

社長インタビュー

代表取締役・水本 秀彦

プロフィール

1966年、兵庫県相生町生まれ。
1989年、日本大学生産工学部管理工学科卒業。ガスまたは電力の設備工事関
連部品を扱う商社へ入社。営業部に配属され、地方のガス工事会社を担当。
1994年、株式会社水本鉄工へ入社。常務取締役を経て、2002年より現職。

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当たり前のことを当たり前のように。成功の法則はない。

水本鉄工は創業から今年(2021年)で58年が経ちました。
長期にわたり事業を継続することが出来た理由は何だと思われますか。

当たり前のことを当たり前のようにやってきた。それだけだと思います。水本鉄工は、現在のIHI (旧播磨重工)との取引からスタートした会社です。当時は配管の曲げをやっていましたが、ある時期、それが全部なくなって窮地を迎えたことがありました。その時以来、溶接の技術を磨き続け、現在に至っています。

特にこだわりとかもありませんか。

あまりないですね。お客様との関係性で言えば、「この辺で溶接が一番うまいのはどこ?」「品質が一番良いのはどこ?」とか言った時、一番に声がかかる会社にはしたいと思っています。日本で一番高い山はどこかと言えば、誰だって富士山と答えますけど、二番目は簡単に答えられないでしょう。一番だから覚えてもらえるわけです。

やっぱり、上には上がいますよ。だから、自惚れていないし、特別なことをやっているという意識もありませんが、皆プライドは持って仕事をしています。私は、オンリーワンじゃなくて地域ナンバーワンで良いと思っています。この周辺地域で、溶接に困った時は「水本持って行け」「水本やったらやるやろう」という風に認知してもらえれば嬉しいです。

地域No.1の会社を目指すため、何か社内で共有されている価値観、
行動指針などはございますか。

うちは社是や社訓、企業理念といったものは一切掲げていません。もちろん日頃気がつくことがあれば、「こうあるべき」「こうせなあかん」「こうしてほしい」というアナウンスはしています。ただ、私や会長自身、言っていることとやっていることが違うことがありますので、我々自身、戒めなければと思っています。

立派な企業理念を掲げていてもモラルハザードを起こしたり、捕まったりしている会社は一杯ありますよ。企業理念なんていうものは実行し続けなければ意味がありません。うちもそこまでのレベルには達していないんじゃないかと思いますね。

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品質へのこだわりや納期意識。自然と受け継がれた風土

何名かの社員さんのお話を伺いましたが、皆さん、品質にはこだわっておられますね。実際にお客様からも評価され続けているともおっしゃっていました。従業員教育の仕組みが整っているのでしょうか。

いいえ。教育の仕組みがあるわけではありませんが、何故か皆しっかりしています。

弊社は昔から、ウルトラCみたいな特別なことは追い求めるようなことはしていません。お客様の納期と品質をクリアして、それに見合うお金をもらって、付加価値を付けて来ました。おそらくうちだけではなく、長年やってきた会社はどんな老舗企業でも本業を一生懸命やってきた結果だと答えると思いますよ。今は成功の法則なんてないと思います。

採用の段階で人材を厳選されているのですか。

それもありません。うちは、知人から「ちょっと面倒見てくれへんか」というような感じで頼まれて引き受けた社員ばかりです。中小企業はそういうものです。でもうちはそれで上手く回っています。逆に社長である私や会長が「それ、おかしいんちゃいますか」と、社員に言われることがあるぐらいです。

納期や品質に関しても、我々から強く言ったことはありません。経営者仲間がよく自社の社員の納期意識のなさを嘆いていますが、うちに限って言えば、「納期には絶対に間に合わせる」と社員が自ら言っています。昔から社内の雰囲気がそうなっているのかも知れません。我々経営陣はそれに甘んじているわけには行きませんが、代々、風土として引き継がれてきたものだと思います。

皆さん、「社長は面倒見が良い」とおっしゃっていました。

それは両親の教えかも知れませんね。会長は昔から「従業員のために」というのが口癖でした。「経営者が全部取るんちゃうぞ。従業員に還元してから自分が取れ。経営者やからといって先に取るようではいかん」と。また、母親からは「始末せえ」と固く教えられました。それでも景気の良い時代は、会長は姫路によく飲みに行っていましたよ。でも最近は長らく行ってません。ある時「何でいかんの」と聞いたら「そんなことをしていたら。会社がなくなってしまう」と言っていました。実際、経営者が遊び歩いているような会社はなくなっています。

私自身は現場を経験していませんので、社員の皆にやってもらってこそだと思っています。明日も社員全員が当たり前のように会社に出てくると思ったら大間違い。いい加減なことをしていたらボイコットされる可能性だってあると思って経営をしています。

ある社員さんは、社長に直接相談すれば、仕事で必要なものは
何でも買いそろえてもらえるとおっしゃっていました。

私はそれぐらいしか出来ませんからね。それで仕事がしやすくなるならと思い、可能な範囲で要望には沿うようにしています。贅沢はさせられませんが、最低限はやって上げたいと思っています。

しかし、そう考えて見ると、私自身どこまで出来ているかは別として、社内でのちょっとした気遣い、ちょっとした声がけが大事なのかも知れません。

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リモートワークの時代だからこそ、
人と人との結びつきを大事にしたい

今後、業界はどう変化していくと予測されていますか。

うちのメインの仕事は、ボイラーという設備関係です。国際的にCO2の排出を抑えるという目標がありますので、今後はどんどんニーズが減っていきます。鉄工業界はなくならないと言われますが、増えて行く市場ではないことは確かです。そんな中で生き残るには、仕事が少量でも確実に儲けに繋がるようなことを考えて行かなければいけません。

どのような戦略を考えていますか。

弊社の事業はあくまでもお客さんから図面をいただいて仕事をこなしていくということなので、狭く深く入っていくしかないのかなと考えています。これまで見落としていたことも沢山ありますので、まだまだ出来ることはあるはずです。また、全般に技術が落ちてきている中、お客様の要求レベルも厳しくなっていることから、撤退する競合も増えていくでしょう。配管の裏波溶接が間違いなくできるというところがうちの強みなので、ライバル会社が出来なくなって来ているところにつけ込んでいく余地はあるだろうと考えています。

他の市場に行くのはなかなか勇気がいるし労力を使います。うちは少人数なので出来ることは限られていますので、従来通り、工場内における製作に特化し、余計なことはやらずに、しっかり、ちゃっかり、かちっとやるということでしかないと思っています。

今回、ホームページのリニューアルと同時に、案件管理のシステムを導入されたと伺いました。

お客様からご依頼いただいた案件の進捗状況を、個々のお客様へリアルタイムに写真付きで報告し、コメントを頂けるシステム(『ちょくレポ』)を導入しました。イチゴを、生産者に予約注文した時に、「これがあなたのために育てているイチゴです。もうすぐ出荷出来ます」と写真入りのレポートが届いたら愛着が湧きますよね。基本的な考え方はそれと同じです。それによって顧客満足も高まりますし、価格競争にも巻き込まれにくくなります。

あくまでも大事にしたいことは人と人との結びつきです。コロナ禍以前から感じていたことですが、最近は人と人との関係がどんどん希薄になっています。リモートワークが広まって、ますます加速しているような気もします。リモート会議が増えましたが、それで生産性が上がっているとは思えません。やはり会って話をするのが基本ではないでしょうか。時流に逆らうつもりはありませんが、お客様との接触機会は出来るだけ増やしたいと考えています。それはライバル会社との差別化につながるキーポイントでもあると考えています。

商いは人と人との営みで成り立っています。儲けという漢字は“信じる者”と書くように、信じ合える人間関係を築くことが商売の基本であると私は考えます。お客様にとって、弊社が“信じる者”、“信じてもらえる者”と感じていただければ嬉しいです。小規模ではあっても、弊社に関係するすべての人々(お客様、地域、従業員、家族)と共に、コミュニティを形成したいと考えています。

最後に、このホームページは、どのような方々に見て欲しいですか。

私はホームページで営業をしようとは考えていません。工場で働いてる社員の様子をお伝えすることで、何となく温かみを感じていただいて、「こんな会社があるんや」と興味を持っていただければ嬉しいです。採用目的というわけでもありませんが、ホームページを見て一緒に働いてみたいと思っていただける方がいれば迎え入れたい。それが水本鉄工の将来にも繋がって行きます。

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